業務効率化やFAQ自動化のために注目されるRAG(Retrieval-Augmented Generation)チャットボットですが、その仕組みを理解するためにはいくつかの専門用語を押さえる必要があります。本記事では、RAGチャットボットの主要な用語と概念を、事例や図解を交えてわかりやすく解説します。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは?
RAGは「Retrieval(検索) + Augmented Generation(強化生成)」を組み合わせた技術です。ユーザーの質問に対し、まず社内ナレッジや外部データベースなどから関連情報を検索(Retrieval)し、その情報をコンテキストに含めて大規模言語モデル(LLM)に回答を生成(Generation)させます。これにより、LLMだけでは対応しきれない最新情報や企業固有の知識を反映した正確な回答が可能となります。
ベクトル検索(Vector Search)とは?
ベクトル検索は、テキストや画像を数値ベクトルに変換し、ベクトル空間上での距離(類似度)を計算して関連度の高いデータを抽出する手法です。従来のキーワード検索と異なり、意味的に近い文書もヒットしやすいため、自然言語による質問でも適切な情報を取得できます。代表的なベクトル検索エンジンには、FAISS、Chroma、Pineconeなどがあります。
埋め込み(Embedding)とは?
Embeddingは、単語や文章を固定長の数値ベクトルに変換する技術です。Embeddingモデル(例:OpenAI Embeddings)は、テキストの意味をベクトル化し、ベクトル検索や機械学習モデルで利用しやすくします。Embeddingの質が検索精度や生成品質に直結するため、適切なモデル選定が重要です。
パイプライン設計の基本
RAGチャットボットを実装する際の典型的なパイプラインは以下の流れです。
1. ユーザー入力の前処理(テキスト正規化など)
2. Embeddingモデルでベクトル化
3. ベクトル検索エンジンで類似文書を取得
4. LLMに検索結果とともにプロンプトを生成
5. LLMが回答を生成
大規模言語モデル(LLM)の役割
LLM(例:GPT-4 Turbo)は、検索した情報を自然言語で整形し、ユーザーにわかりやすい回答を生成します。生成結果の品質や一貫性を高めるためには、プロンプト設計やTemperatureの調整などがポイントとなります。
会話履歴管理とメモリ機能
チャットボットでは会話の文脈を保持することが重要です。LangChainや他のフレームワークが提供するメモリ機能を使い、過去のユーザー発話を適切にプロンプトに含めることで、対話の連続性を担保します。